2010/01/27

■グラフィック薄氷大魔王[207] Appleタブレットに期待すること

■グラフィック薄氷大魔王[207]
Appleタブレットに期待すること

吉井 宏
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米国時間27日、日本では今日の深夜、発表されると言われているAppleタブレットについて、先週に続いてもう少し。この連載でも2005年6月に「理想のタブレットPC」で書きましたが、タブレットPCには大きな思い入れがありました。タブレットPCの可能性を体感しようと、購入したのは普通のノートPCの画面がタッチパネルになっているコンバーチブル型ではなく、スレート型(ピュアタブレット型)でした。

どんな期待をしていたかというと、「絵も描ける上、通常の主力パソコンとしても完全に機能するもの」でした。イラストレーター、あるいはグラフィックデザイナーにとって、1台ですべてこなせるパソコン。そりゃ、期待しすぎでした。

その思い入れの強さゆえに、期待した使いやすさや実用性がイマイチだったため、かわいさ余って憎さ百倍っていうか、一種のアンチタブレットPC派といった心境でその後を過ごしてきました。それで、「肩が凝る、首が痛くなる、両手で使うのは不便」などとAppleタブレットに対してもちょっと否定的なことを書いてみたくなるんです。

タブレットPC登場の2002年当時、僕の仕事の大半が2Dイラストでしたので、当然ながら、タブレットPC最大の魅力は「画面に直接、筆圧ペンで絵が描けること」でした。ところが、当時の液晶の視野角はまだ狭くて見にくかったし、画面のカーソルとペン先の位置を合わせるのが超大変。タブレットドライバで四隅のポイントを合わせる方式だったのですが、ペンとカーソルのずれが気になり始めると、位置合わせだけ何時間もやり続けたりしてました。

どうにか位置を合わせて描き始めても、10インチの画面がきゅうくつ。カーソルの位置が合うのは画面中央部付近だけ。まともに使えるのは十数センチ角程度の範囲でした。あまり絵を描く気にはならないのは当然。

また、「立ったまま使える」のは持ち歩きパソコンとしては悪くないのですが、立っている時だけでなく座っているときも、タブレットPCを使うときは常時、両手で持つ必要がある。ノートパソコンなら、キーボードやマウス等を使う時以外は両手はフリーでしょ? 使うために机からタブレットPCを持ち上げ、必要なくなったら机に降ろす。ハードディスクの入ったデリケートな電子デバイスなので、上げ下ろしには相当気を使い、そっと扱わなくちゃいけない。それがどんなに面倒なことかって、使ったことのない人にはわかるま〜〜い。

それに、物理的なキーボードがないので、検索でも何でも文字を打つたび非常におっくうに感じた。手書き文字認識の精度はなかなかのもので、そこそこ長い文章を書くこともできたけど、長文を打つのと検索窓に打ち込むのとはぜんぜんちがう。パソコン操作の大半は細切れに文字を打つことだと思うのですが、アプリやウェブブラウザのいろんな場面でたった数文字を入力するのが苦痛だったのです。

文字を打つのが苦痛、が何を意味するかというと、ショートカットキーが使えない。ノートPCと同じ形のコンバーチブル型タブレットPCにはキーボードがあるので大丈夫かというと、手前にキーボードがある配置ではやはりむずかしいし、特別な支えでもないかぎり、画面に手を置いて描けない問題もあった。というわけで、当時のタブレットPCは、僕の用途に向いてそうで向いてないという、非常にもどかしいマシンだったのだ。

あと余談ですが、タブレットPCを使わなくなってからも気に入らないこと。マイクロソフトがタブレットPC的操作の良さを過信するあまりか、Windows VistaではOS自体にタブレットPCの機能が統合されており、デフォルトでオンになってるのです。Windows7でも同様。タッチパネル(ワコムのデジタイザ搭載も含め)付きのパソコンではタブレットPCとして即使用可能です。ところが、市販のWindows搭載パソコンのほとんどはタッチパネル非搭載。マウスのみで操作するには支障ないものの、外付けのタブレットを使うと、とたんに最悪のパソコンに成り下がる。

外付けのタブレットでもタブレットPCの機能がデフォルトで使えるのが仇になり、通常のタブレット操作がダメダメになってしまうのだ。タブレットPCのペン機能で、「静止させると右クリック」「ジェスチャー」「クリック(タップ)の可視化のグラフィック」などなど、普通にタブレットを使ってきた人には不快な様々な機能がかぶさってきてしまう。動きが重くなったり、不正確になったり、表示がうっとおしかったり。要するに、ワコムのドライバだけでスッキリ使えるタブレットなのに、へんなおせっかい機能が快適に使うジャマをするのだ。

実際のところ、VistaやWindows7でタブレットを使おうとすると、コントロールパネルをあちこち探し回ってタブレットPCの機能を全部無効にする必要がある。それでもどうしても無効にできなかったタップを示す波紋みたいなグラフィックをどうにか探し当ててオフにでき、最近ようやくWindows7で快適にタブレットを使えるようになった。タブレットPC含むWindows歴十数年の自称ベテラン(笑)である僕がですよ。パソコンでお絵かきしようとWindows7PCとタブレットを買ってきた初心者にはそんなの絶対にわかるはずがない。

2004年時点でのタブレットPCへの愛憎を綴ったページ「タブレットPCで絵を描けるか?」というのがありますので参考にどうぞ。
< http://www.yoshii.com/tabpc/tabpc.html >

上記の点を踏まえ、僕がAppleタブレットへの期待を一言で表すなら、「Appleなら、あんな中途半端なもんは作らないだろう」です。当時そう思いました。

もっと細かく言うなら、先週書いたように「iPhoneOSを拡張した特大のiPod touchそのものでもぜんぜんオーケー」「電子書籍ビュアー」「メディアプレーヤー」「紙のノートの代替」あるいは「手帳や文房具や書類や本や雑誌や携帯電話やiPodやネットブックなどを入れたバッグ全体の代替」。そしてもちろん「軽さ、タフさ、バッテリー寿命」にも期待します。

スティーブ・ジョブズはAppleタブレットについて「これは、私がこれまでやったことの中で最も重要である」と述べたそうだ。僕の理解では、iTunesストアでの書籍販売戦略を含め、「世界中の出版物すべてが、紙媒体から電子媒体に移行したきっかけとなった製品として歴史に刻まれる」ことなんじゃないかなと思ってます。

発表は今日27日の深夜。8年の期待に応えてくれ〜〜。

(9年前の2001年10月。Appleがすごいものを発表するらしいとの噂。たぶんPDAだぞ。ありゃりゃ、MP3プレーヤーかよ。期待はずれ。MP3プレーヤーならRioとか持ってるけど、HDD内蔵で容量大きいな。とりあえず予約して買おう。・・・の、iPodがこれほど大化けするとは思いもしなかった。今回も、発表時はなんだそりゃ期待はずれ、が、世界を変えることになるのかもしれない。発表されたものの本質を見極めたい)

【吉井 宏/イラストレーター】

先週、一人称を「僕」から「私」に変更します!と書きましたが、先週のヤンスガンスのセミナーで、相当気をつけていたにもかかわらず、壇上で思いっきり「僕」を使ってしまい、動揺して思わず「わー!僕って言っちゃった!私を使うって決めたのに〜」とか口走ってしまいました。えらくウケてましたが。しゃべりがぎこちなくなるし、どもりがちになるし、不自然とか似合わんとかみんなに言われるし。もういいや、「私」に移行はやめて「僕」で通します。セミナーは大好評でした。しゃべったのはほとんど秋元きつね氏ですけどね。見逃した方は2月12日(金)にアップルストアでもやりますのでぜひ。先週のセミナーでは技術的な話は3ds Maxが中心でしたが、アップルストアではAfterEffectsやmodoなどがメインになる予定です。とはいえ、技術的な話はどちらかといえば添え物で、企画とか少人数チーム制作事例的な話がメインになります。

●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。Wiiシアターの間でも配信中。

HP < http://www.yoshii.com>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/>

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2010/01/20

■グラフィック薄氷大魔王[206] Twitter、始めました

■グラフィック薄氷大魔王[206]
Twitter、始めました

吉井 宏
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先月からTwitter始めました。登録は一昨年秋にしてあったのですが、何が面白いのかイマイチわからなかったし、こんなのやり始めたら生活グチャグチャになりそうだったので、1年以上ROMだけしてました。ところが、知り合いのツイートを見てるうちについうっかり書き込んでしまい、そのまま普通にTwitterの世界へドップリ。

以後、1ヶ月近くたったわけですが、ちょっと感想。

mixiみたいに濃密でなく、いろんな人の多数のツイートが醸し出す、うす〜〜〜い「場」ってのは確かに心地よい。広い体育館みたいなところで、みんなが各人好きなことやってる感じ。で、何か事件や面白いことがあると、えっなになに?って耳を傾けたりコメントしたり。

書きたいことを書いてます(私の場合は、今何してる的なことはほとんど書きませんが)。たまにコメントが返ってきます。誰かのツイートにコメントして延々続くこともあるし、すぐ終わることもある。何か書いてもどんどん過去に消え去ってしまうので、気にする必要もない。そのへん、mixiや個人の掲示板やブログのコメントよりもはるかに気楽だ。mixiはほとんど見なくなってしまった。

情報が早い! 「ハドソン川不時着」みたいに報道よりTwitterで早く広まるケースはなかなかないけど、「今テレビで何々やってる」って急いでテレビをつけに走ることしばしば。

また、役に立つ情報や今までは触れられなかった情報が、向こうから飛び込んでくる。能動的に検索したりどこかのサイトやブログや掲示板を見に行ったりしなくても、Twitterのタイムラインを流してるだけで情報が集まってくるってのが重要。まあ、逆に言えば、見逃した情報はタイムラインのかなたに消え去ってしまうわけですが。

Webブラウザではタイムラインにツイートが20個しか表示されず、もっと読むには続きを読み込まなくちゃならない。Twitterを便利に使うにはTwitterクライアントのアプリを使うほうがいいです。いくつかのTwitterクライアントを試して、今は「夜フクロウ」に落ち着いてます。

タイムラインがすごい勢いで流れていくので、何か面白いツイートを見逃さないか、いつも気になってしょうがない。でも、Twitterの世界では気にしなくていいらしい。今、画面に出てる分に何か引っかかるツイートがあれば、それを読めばいい。今この瞬間だけの世界。ログも残さない。というのが正しい心構えだそうだ。

「書き込み可能な電光掲示板(オレンジ色の豆電球の字でニュースが流れるやつね)」って感じかな。または、昔のニフティーの会議室。ただし、書き手は自分で選べるもの。

Twitterは非常にシンプルな仕組みを提供してくれてるだけで、利用法は各人それぞれ。使いたいように使ってるようです。なので、Twitterのどこに魅力を感じるかも人それぞれ。私も少しはその魅力に触れたとはいえ、まだ使ってない仕組みも多いし、フォロー数も少ない。まだまだこれからです。

実のところ、この原稿を書くためにTwitterに思うことをまとめようとしたのですが、数日の間にどんどんその考えが変わっていってしまう。考えが落ち着くまでしばらくかかりそうなので、後日また書きます。

●おまけ Appleタブレット前夜?

来週ようやく、Appleのタブレットが発表されるようです。タブレットPCに熱狂していたのが2002年頃。8年前とはちがい「お絵かきマシン」としての面はほとんど期待してません。筆圧はおろかペンさえ使えないだろうし。

私としては、Appleタブレットは「特大のiPod touch」そのものでぜんぜんオーケー。OSXではなくiPhoneOSであることを希望! なぜなら、パソコンとして使えてしまうマシンは、パソコンと比べて不便とか思ってしまいそうだから。ネットブックだって、用途を誤解して小さくてクソ遅いパソコンと思ってる人多し。

iPhoneOSならすでに何万本のアプリがある。すぐにコミュニケーションツールやゲームマシンとして使用可能だ。発表から発売までの2ヶ月のタイムラグは、iPhoneアプリをAppleタブレットの解像度に対応してもらうためかもしれない。Appleタブレットは、ネットブックとかすっ飛ばして、新しいジャンルのマシンの出現ということになるのかもしれない。

で、噂されているように、音楽の世界でiPodやiTunesが果たした役割を、電子書籍でまたAppleがヤルのではないかと。キンドルで自費出版も含めた電子出版が簡単になるとの話もあるけど、その動きと合わせて、一気に電子書籍化が進むのかもしれない。「置き場所」を考えて本を買わなきゃならない現状から、ようやくおさらばできるかも!

いちおう書いておくと、スレート型タブレットPCを手に持って操作すると、首がひどく疲れる、肩がひどく凝る。目の高さまで上げて使うと首はマシだが、賞状を読み上げるような不自然な姿勢になり、手が非常に疲れる。机に置いて使う場合、必ず両手を使わなければならず不自由・・・。というのが現実でした。Appleタブレットではどうでしょうか? 発表が楽しみ。

【吉井 宏/イラストレーター】

一人称に「私」を使えるように練習中〜。考えなしに、ずっと「僕」で来ましたが、大人としては「私」も使えるようになっておきたい。しかし、くだけた場では「私」だと調子狂うし、書いてて自分の文章が気持ち悪い。他人にはどちらでも同じようなものだろうけど。慣れよう。ところで、Twitterを通じて知った、私にとって最大級の収穫。PhotoshopにPainter風のカラーパレットを追加する「Painters Wheel」。これは強力!
< http://lenwhite.com/ >

●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。Wiiシアターの間でも配信中。

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2010/01/17

「ヤンス!ガンス!」メイキングセミナーやります


ボーンデジタルユーザー事例セミナーとして、「ヤンス!ガンス!」のメイキングセミナーをやります。出演は秋元きつね氏、アニメーション制作の菅村弘彦氏(有限会社シンク)、そしてキャラクターデザインの吉井宏です。

1月22日(金) 秋葉原UDXシアター 参加費無料(事前登録制)
詳細はこちら Born Digital ユーザー事例セミナー+

映画「よなよなペンギン」のメイキングセミナー、日の丸シェーダーのプレゼンもあります。

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2010/01/16

Painter風カラーピッカーをPhotoshopに!



最近Twitterで知った、私にとって最大級の収穫。
Painter風のカラーピッカーをPhotoshopに追加する「Painters Wheel」。Photoshopでお絵かきする上で最大の弱点だった「色の拾いにくさ」が解消!!

もう一つ。Photoshopに最後に残った弱点、「水滴ブラシがまともに使えない」を解消するブラシセット「Blur's Good Brush 4.0」(2ページ目の下のほうにダウンロードリンクがある)。「指先ツール」で使用するといい感じのボカシブラシとして使えるし、普通のブラシツールで使ってもいい。

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2010/01/13

■グラフィック薄氷大魔王[205] 「カールじいさんの空飛ぶ家」と「アバター」と3D上映

■グラフィック薄氷大魔王[205]
「カールじいさんの空飛ぶ家」と「アバター」と3D上映

吉井 宏
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12月後半に2本の3D上映作品「カールじいさんの空飛ぶ家」と「アバター」見てきました。

映画本体の一言感想としては・・・

「カールじいさん」、最初の10分だけで料金分の価値アリ。その10分でカールじいさんの動機に共感しちゃうので、本編のストーリーは割と平板なのに十分鑑賞に堪えるという感じ。犬がイイ!

「アバター」、スジ運びは定石通りというか定番だし、構成要素もいろんな作品からの引用っぽいので、意外性はほとんどないんですが、映像に引っぱられてとても楽しめた。あの画面で複雑で難解なことやられたらわけがわからなくなる。映像をひっかかりなく見てもらうための、何も考えなくてもいいストーリーなんでしょうね。

で、3D上映の話。

「カールじいさん」は新宿のバルト9で観たんだけど、実はかなり残念だった。とにかく3Dメガネが暗い。空に色とりどりの風船という非常に鮮やかな画面なのに、わざわざ暗いサングラスをかけて観てる感じ。映像の美しさがもったいなくて、3Dメガネをつけたりはずしたりして観てました。

3Dメガネが壊れてるのかと思いましたが、ちゃんと立体感はある。上映後、メガネ回収係の人に聞いてみたら、そういう方式の3Dなのでそんなもんとのこと。う〜ん、今後、3D上映の映画なんて観に行かないぞ!とまで思いました。映画の内容の本質とは関係ないささやかな立体感のために、鮮やかさや快適さを失うのはもったいない。

数日後、「アバター」はIMAX方式で観るべき、という話をTwitterで読んだ。そうか、上映方式の問題だったんだ〜、と、109シネマズ川崎に行ってきました。

IMAXの3D上映は、やはり暗く見えるものの、「カールじいさん」よりはマシでした。音響の立体感もすごい。でも、「アバター」のあの世界に完全没入できるかと思ったのに、そうでもなかった。3D上映って、目の前で事件が起きているような実在感があるのかと思っていたので、ちょっと残念。

目の前に刃物が飛び出してくるようなベタな3D効果の使い方はしてなく、世界に浸ってもらうような地味目な立体感は意図したものらしい。ただ、「映画」という表現形式の根幹に関わってしまうんだけど、カットが切り替わるたびに、自分の目ではなく、カメラが撮った映像であることを意識させられてしまう。10分単位の超長回しショットと3D上映方式を組み合わせると最強かも。

「アバター」は3D映画の「ジャズ・シンガー(最初のトーキー映画)」と言われることもあるくらい革新的らしいし、これからの映画はみな3Dになるって話なのに、こんなのでいいのか?? 続けて2本の3D映画見たけど、どちらも明るくて鮮やかな2Dで見るほうがよかったかも、って思う。少なくとも、3D上映で見るほうが格段に良かった!とは、とても言えない。

と思ったら、こんな話が↓
< http://www.premiereport.com/paul-nise-imax.html >

日本には本物のIMAXが存在しないそうです。スクリーンのサイズも解像度もぜんぜん小さいし、上映方式もちがう。そうだったのか。ずいぶん前、新宿高島屋にあったIMAXシアターに行ったことがある。巨大スクリーンで席が垂直の壁沿いみたいでしたが、あれが本物のIMAXだったらしい。う〜ん、二子玉川に来年できるとの噂の109シネマズに、本物のIMAXがあることを期待したい!

ところで、たまたま偶然、数日前にDVDで「雨に唄えば」を初めて観た。サイレントからトーキーに時代が変わっていくハリウッドが主題で、「ジャズ・シンガー」の話も出てくる。映像と声がシンクロしたデモ上映を見せられた人たちが「こんなのオモチャだ!」とバカにする。でも、「ジャズ・シンガー」の大ヒットの影響で時代は動き、トーキー映画を作らなきゃいけなくなる、ってのが背景です。まさに、3D上映っていう現代の革命的出来事と重なるねぇ。

【吉井 宏/イラストレーター】

Twitter、始めました。登録したきり1年以上何も書かなかったのですが、年末からなんとなく書き始め、すぐ虜に。なるほど、こりゃおもしろい。

●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。

HP < http://www.yoshii.com>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/>

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2010/01/10

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これも3D-Coatでボクセルからリトポ、modoで仕上げた。リトポの手順はだいたいわかったので、次回から通常バージョンに戻そ。時間かかってかなわん。あと、気がついたのは、TDWの候補のスケッチがたくさんあるんだけど、ほとんどがポリゴンモデリングしやすいような形になってる。無意識のうちにmodoで作ることが前提になってる。これはあんまり良くないのかもしれん。

2010/01/08

3D-Coat、リトポ第2弾


リトポだけじゃなく、元の形状も3D-Coatでやってみた。こういったシンプルな形状なら、プリミティブをいくつか組み合わせ、ざくざくと投げ縄選択削除を何度かすれば、だいたいの形に近づける。で、各種ブラシを使って作り込む。リトポするためのモデルなら、大ざっぱに形が取れてれば十分。

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ウサギ完成。レジンで複製した数十個がほったらかしになってましたが、このようにペイントする予定。サンプルの数個をペイントし、ガレージキットとして今度のワンフェスで売ろうと思ってます。

2010/01/06

3D-Coat、リトポやってみた


昨日のウサギをリトポ(元の形状に改めてポリゴンを貼り直す作業)してみた。左が3D-Coatでリトポ終了状態。左がmodoでサブディビジョンして形を整えたもの。3D-Coatのほうが形がいいんだけど、modoでフィギュア原型の写真をテンプレートにして修正してあるため。つまりわざわざフィギュアの形に忠実に合わせたわけです。実は、なんで今回3D-Coatでウサギを作ってるかというと、フィギュアに色を塗るための色シミュレーションをしたかったのでした。

やってみた感想
・もう作れない形はない!
・元形状の作成も含めると時間がかかるし面倒。
・特に、エッジや継ぎ目など面の合わせ目をリトポするのは難しい。
・でも、最終的に形は確実に作れる。
・元形状から3D-Coatでサクサク作れるようになったら、最強!

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2010/01/05

3D-Coat、はじめました


3D-Coatという3Dソフトをいじり始めました。実はまだよくわかってないのですが、「ボクセル」で形を作れるソフトです。ボクセルってのは中身のつまったボリュームです。普通の3Dソフトは、ポリゴンやスプラインなどで形や位置を定義して、面を貼ったり曲面を補完したりして形を作りますが、ボクセルってのは丸っきりの「粘土」です。

ZBrushなども粘土みたいにモデリングできると言いますが、粘土を盛ったり削り取ったりはできません。細かいポリゴンでできた表面を押したり引いたりしてるのです。3D-Coatのボクセルではそれができるんです。

出力番長さんやoritaさんの作品を見て、いいなあとは思ってたのですが、なかなか挑戦しにくいものがありました。というのは、ZBrushからmodoに移ったのは、私が作る形ってツルツルの丸っこいものが多く、コントロールポイントは少ないほどいいから。例えば卵形を作るのにサブディビジョンしたポリゴンなら12個のポイントで済む。球体なら8個。ところがZBrushや3D-Coatなどは何千何万個のポイントの集合体。少ない点を動かして形全体をコントロールするのに向いてない。そういう意味では、挫折したけどShadeやライノセラスのほうが私には向いてるかもしれない。

でも、「気軽に作れる本物のデジタル粘土」があればとても重宝するにちがいない。ボクセルを元にポリゴンを貼ることもできる。本当の意味での3Dラクガキができそうだし。

画像は、以前にスカルピーで作ったものを見ながらZBrushで大まかにメッシュを作り、3D-Coatで整えつつあるもの。勝手がよくわからないんで時間かかるけど、たいした苦労なしにここまで作れるんなら、ちょっとは脈アリかも。

もうちょっと手を加えた。かなりマシになったけど、いくら手を入れてもキリがない感は大きい。これをリトポしてみるかな。

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2010/01/03

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これで3個目のシリーズですが、何でこういうのを作ってるかというと、ストラップとかみたいな「ヒモを通してぶらさげる穴」を作ってみたら、とたんに何か意味というか機能みたいなものがある感じがしておもしろかったので。まだいくつもあります。

2010/01/02

iコンシェル、メイドのメイちゃんの振り袖姿


iコンシェル 「メイドのメイちゃん」の正月バージョンの振り袖姿です。「ひつじのしつじくん」も昨年同様の羽織袴姿。

3D上映の「カールじいさんの空飛ぶ家」と「アバター」



12月後半に2本の3D上映作品「カールじいさんの空飛ぶ家」と「アバター」見てきました。

映画本体の一言感想としては、
「カールじいさん」。最初の10分だけで料金分の価値アリ。その10分でカールじいさんの動機に深く共感しちゃうので、本編のストーリーは割と平板なのに十分鑑賞に堪えるという感じ。犬がイイ!
「アバター」。スジ運びは定石通りというか定番なので、意外性とかほとんどないんですが、映像に引っぱられてとても楽しめた。あの画面で複雑で難解なことやられたらわけわからんくなる。映像をひっかかりなく見てもらうための、何も考えなくてもいいストーリーなんでしょうね。

で、3D上映の話。
「カールじいさん」は新宿のバルト9で観たんだけど、実はかなり残念だった。とにかく3Dメガネが暗い。空に色とりどりの風船という非常に鮮やかな画面なのに、わざわざ暗いサングラスをかけて観てる感じ。映像の美しさがもったいなくて、3Dメガネをつけたりはずしたりして観てました。

3Dメガネが壊れてるのかと思いましたが、ちゃんと立体感はある。上映後、メガネ回収係の人に聞いてみたら、そういう方式の3Dなのでそんなもんとのこと。う〜ん、今後、3D上映の映画なんて観に行かないぞ!とまで思いました。映画の内容の本質とは関係ないささやかな立体感のために、鮮やかさや快適さを失うのはもったいない。

数日後、「アバター」はIMAX方式で観るべき、という話を聞いた。そうか、上映方式の問題だったんだ〜、と、109シネマズ川崎に行ってきました。

IMAXの3D上映は、やはり暗く見えるものの、「カールじいさん」よりはマシでした。音響の立体感もすごい。でも、「アバター」のあの世界に完全没入できるかと思ったのに、そうでもなかった。3D上映って、目の前で事件が起きているような実在感があるのかと思っていたので、ちょっと残念。

「アバター」は3D映画の「ジャズ・シンガー(最初のトーキー映画)」と言われることもあるくらい革新的らしいし、これからの映画はみな3Dになるって話なのに、こんなんでいいのか?? 続けて2本の3D映画見たけど、どちらも明るくて鮮やかな2Dで見るほうがよかったかも、って思う。少なくとも、3D上映で見るほうが格段に良かった!とは、とても言えない。

と思ったら、こんな話が↓

日本には本物のIMAXが存在しないそうです。スクリーンのサイズも解像度もぜんぜん小さいし、上映方式もちがう。そうだったのか。ずいぶん前、新宿高島屋にあったIMAXシアターに行ったことがある。巨大スクリーンで席が垂直の壁沿いみたいでしたが、あれが本物のIMAXだったらしい。う〜ん、二子玉川に来年できるとの噂の109シネマズに、本物のIMAXがあることを期待したい!

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2010/01/01

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2010年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

↓年賀状バージョン